「近過ぎたココロ・・・」後編
     作者:空ーAIRー



キーンコーンカーンコーン





六時間目が終わり放課後



「な・なおくん、一緒に帰ろう?」

「・・・悪いけど用事があるから・・・」

「そ・そう・・・ごめんね、忙しいのに」

あきらかに怒っているようだ

保奈美は久しぶりに一人で帰ることになった

いつもは直樹が保奈美の部活が終わるまで待っていて、それから
一緒に帰っていたのだが



「あ〜、やっぱり怒ってるよね・・・ちゃんと謝らなきゃ」

などと悩んでいるうちに直樹の家が見えてきた

(あーどうしよ!?なんでなおくんの家にくるだけでドキドキするの!)

普段もドキドキしているのだが、今日はなぜかいつも以上に
緊張している

「よし!ちゃんとなおくんに謝ろう」



ピンポーン



「・・・・」

「・・・あれ?もう帰っているはずなんだけどな」

しょうがないので勝手に入る



ガチャ



「おじゃましま〜す、なおくーん」



じゃー



何処からともなく水音が聞こえてくる

音は洗面所から聞こえてくるようだ

「あっちかな?」



そぉーっと近ついていく



「なおくん、ちょ・・・!?」

ガタン

思わずカバンを落としてしまった

そこには洗面所で手に血のついた髭剃りを持っている直樹がいた

「・・・・ちゃ・・・・やだ」

「だめぇー!!」

「えっ!?」

慌てて振り向いたらどすんっと物凄い力で抱きついてきた

「だめっ!!!死んじゃだめー!!」

「ちょ・・ちょっと待てって!」

わけのわからない直樹

「ごめんなさ!私が悪かったから!謝るからー!!」

こんな保奈美をみたことがなかった、ましてや泣き乱れるなんて

「お・落ち着けって!どうしたんだよ!?」

取りあえず引き離そうとするが男の直樹でさえ中々離れなかった

「やだぁっ!!離さないで〜!!どこにも行っちゃやだ!!」

とゆうかまったく状況が掴めなかった、なんで保奈美が泣いているのか。

まずは落ち着かせるためにあれ(最終兵器)を使う

「保奈美」

上を向いた瞬間に唇を合わせる

「んぅ!?」

かーっと目を見開いていたが直樹が激しくキスをすると静かに目を瞑り
力の入っていた身体を直樹に預ける

「んっ・・・・っ・・・」

どれくらいの時間が経ったのだろう、時間的には極僅かなのかもしれないが
二人の間では非常に長く感じられた



「・・・・今日はどうしたんだよ」

「・・・だって、なおくんが死のうとしたから・・・」

リビングのソファで直樹が未だに泣いている保奈美を抱きしめながら
聞いてみる

「はぁ!?・・・ひょっとしてこれのことか?」

そういって顎の部分を見せる、そこには髭剃りに失敗したような

痕があった

「これ結構痛いんだよね〜、久し振りだからだから失敗しちゃって(笑)」

「じゃ・じゃあなおくんは死なないんだよね?」

目を真っ赤にしながら直樹を見つめる

「ばーか、こんなことで保奈美を置いて死ねるか!・・・・あっ」

「な、なおくん(真っ赤)」

「いや・・だから・・・その」

「嬉しいよ」

また泣き始めてしまった(汗)

「な、泣かないでくれよ(汗)」

「ぐずっ・・・えぅ・・・だって、うれしん・・・だもん」

え〜んと大泣きし始めた保奈美、暫く直樹が抱きしめながらあやしていた
のだがこんなのもいいかなと思う今日この頃であった





「なおくん」

「ん?」



「大好きだよ!!!」



 END